1224

古着屋さんで買った、少しサイズが小さいけれどスタイルがよく見える可愛いワンピースと、キラキラと光を反射しながら揺れるイヤリングをつけて、私は特急に乗っている。

 

クリスマスイブにはジョンレノンのHappy Christmas を聴くのが恒例になっていて、毎年、冒頭でオノヨーコとジョンレノンが自分たちの子供に囁く場面でグッときてしまう。そしてあのイントロの素晴らしさ。

クリスマスイブに特急に乗っているなんて、昔のJRのCMみたいだ。改札まで大急ぎで走って、彼氏を見つけて、柱の陰に隠れて帽子をかぶって深呼吸する。

 

この一年は本当にいろんなことがあった。

四月には新しいバイトを始めた。しんどくて絶対に夏までにはやめてやると思ったのに今も続けている。時給上がったしね。

五月もバイトばっかりだった。実習がちょこちょこ、泊りがけの実習もあった。不運が続いて神よ、と思った。何もかも投げ出したかった。

六月は告白する、と決めて、振られると思っていたから、あと実習のストレスもあって、出会い系で2人の男と寝た。抱き合いながら壁に好きだった先輩の名前を指で描いたりした。

七月、台風のせいで夏祭りに行けなくて、せっかく買った浴衣がおじゃんになった。よく覚えてないけど多分七月末に泣いて喧嘩して別れた。

八月、また出会い系と会い始めた。分かれて最初に会った男はロクでもないやつで、2人目の男は結局、今もずっと連絡を取っている。友達と旅行に行ったり、バイトに行ったり、実習に行ったり、幼馴染とオムライスを食べたり、ひまわりの写真を撮りに行ったりした。忙しかったけれど、毎日楽しくてしょうがなかったと思う。

九月、出会い系の男と旅行に行った。温泉に入ったり馬鹿みたいに歩いて汗かいて笑ったり神社に行ったり、さみしがったり、楽しかった。31歳とも会った。カメラを止めるな!を見に行ってお好み焼きを食べてカラオケに行った。お父さんとお母さんと三人で映画を観に行った。何を観に行ったんだっけ?あっキムタクとニノのやつだ。検察側の罪人。ポップコーンを食べながら観た。誕生日も祝ってもらったりした。その日だけは世界で1番幸せだったかもしれない。

十月、学校が始まって、前好きだった先輩と飲みに行って、おでんをたべたりした。童貞に告白されて面倒だと思ったりした。

十一月、福岡からわざわざ出会い系の男がきて、山の上の展望台で夜景を見ながら告白された。車の中でキスをした。

十二月、結局付き合うことになり、美容室に行ったりバイトに行ったり授業を受けたりしているうちにクリスマスイブになった。

 

アルバイトもそれなりにうまくできるようになって、たくさん勉強することがあって、痩せて、太って、可愛くなって、服をたくさん買って、1人で電車に乗れるし、喫茶店にも入れる、ベーキングパウダーの場所だって店員さんに聞ける、以前なら恥ずかしくていつまでもクヨクヨしていたことだって、ある程度は受け流せるようになった。男の人と臆せず話せるようにもなった。この一年で得たものの中には、不必要なものや汚いもの、手放した方が良いものだってあったかもしれないけれど、でもそれでも、私は多くのものを得た。私はこのことを誇りに思う。

 

この前の英語の授業で教授がサンタ帽をかぶってギターでサンタクロースの歌を歌っていた。

 

メリークリスマス、と聞くと太宰治の小説を思い出す。題名は「メリイクリスマス」。

 

この一年を悲観せずに終わらせることができそうだし、少なくとも今は、少し幸せで、心がいつになく落ち着いている。昨日作ったマフィンを喜んでくれなかったら、と思うと惨めになるけど、そんなのもう今更どうにもならない。あと1時間、私は特急の中で眠ることにする。良いお年を。そしてメリークリスマス。

 

1212

天候一つで気分が左右される。

今日は晴れていて暖かいから気分が良い。

 

あしたは朝からバイトだけれど、土日の旅行があるので何があっても乗り越えられる気がしている。

 

Queenのteo trriatte を何度も聞いている。あとPentagonのShineも。

 

ひさびさにcmbyn の予告を見たら夏に小さな映画館で見たことが素敵な思い出として鮮やかに蘇ってきた。最高だった。

 

cmbyn を見た日は、喧嘩別れをした元彼に告白をした日だった。

だからもしも振られたら、付き合えたとしても別れたら、cmbyn は見られなくなるだろうし、スピッツも、待ち合わせの場所に行く時に聞いていたMystery of loveももう聞けなくなるんだろうなと思ってたけど、全然そんなことなかった!まあポケモンとかは今も嫌いなままだけど。

 

 

今日は奨学金の書類をもらって、家に帰ったら走ってダンスをしてたくさん眠る。

あったかいからなんでもできそうだ。

 

1207

何かあったらすぐ傷つくくせに、楽しかったり嬉しかったりする感情には時差がある。

 

出会い系で男と会いまくるのをやめた。好きだ、付き合いたいと言ってくれる男がいたからだ。

 

私はそれまでいたセフレの男のことが好きだった。他の女と寝てる痕跡をみつけて、夜中惨めに泣いたりもした。もうそういうのにも疲れたし、結局は執着だったんだと思う。いつまでもしがみ付いてちゃ惨めになるだけだったから、私はきっと正しい選択をしたのだ。 現に今、私はすごく幸せである。

 

前にも付き合いたいと言ってきた男はいた。(出会い系の男) 彼を選ばなかったのは元彼に私の扱い方が似ていたからだ。あと単純にちょっと臭かった。ごめん。

 

妹に話したら、「それはお前、結婚詐欺かもしれんぞ」と言われた。金なし大学生になぜそんなことを。

 

帰り道、たい焼きの誘惑には買ったが服の誘惑には勝てなかった(タートルネック1290円)。仕方があるまい。毎朝洋服ダンスの前でぼんやりしてしまうのを打破するためにはそれしかない。

 

最近どの占いを見ても「焦りは禁物」と書いてある。

 

あしたはデートです。

 

 

 

 

 

1113

大急ぎで文を書く。

反対側の車線には絶望的な渋滞に巻き込まれた人たちが無表情で車の中に閉じ込められている。

お腹がすいた。

私は服を買いすぎる。

本を最近よく読んでいる。

テンポよく文を書いている。この間30秒くらい。ケータイならタイピングのスピードが早い。パソコンは遅い。

今朝は寝坊をした。20分遅く起きても急げば間に合うのだと思った。少なくともお腹さえ痛くならなければ。

また垢抜ける努力をし始めた。

春に比べて私は見違えるほど美しくなった。それは必要に迫られていたからだ。恋なんかよりもっともっと必要に迫られていた。それは戦いみたいなものだった。美しくならなければいろいろな期間が伴っていた。顔をネットにあげられる、いざ会って惨めな思いをする、などなど。写真との乖離にも気をつけた。私はたいていの場合、写真より可愛いと言われた。

でも今はそれに甘んじてしまっている。顔の肉は緩み、また表情筋は固まっている。私はまた努力をしなければならない。私は私の筋肉をいじめぬいて、また美しくなる。健康に、そしてポジティブに。

男のためではなく自分のために美しくなることの楽しさよ。

 

急いで書いた。急いで書かないと結局全部消してしまうのでもう読み返さずにアップする。今週の山場が終わったので私は無敵だ。今日もダンスと筋トレをする。さようなら。

1019

中学生の頃、リストカットをしていた。

好きな男の子に振られ、受験対策で行った小さな塾で怒鳴られ、家では無神経な祖父からのプレッシャーを受け続けて、私の朗らかな部分はどこかに行ってしまった。

いや、そもそも私に朗らかな部分など最初からなかったのかもしれない。昔から、母は私より妹の方を愛していた。そして私より姉を、私より兄を愛していた。私も愛されてないわけではなかったけれど、その愛は2番目だったり3番目だったり4番目だったりした。

 

泣きながら腕を切った夜や、首に薄く傷をつけていつでも死ねると安心してからでしか塾に行けなかったこと、全部が私だしあの頃の私と今の私は何一つ変わっていない。

 

やっとの思いで入った高校は、もちろん楽しかったし友達もできたし居場所も見つけて、妹ぬきの私を観てくれていた人も居た。だけど結局誰にも愛されずに終わった。課題もそれなりにたくさんあったし閉鎖的な地方の進学校で身も心もボロボロになった。

 

大学生になって、初めて好きになった人は私を好きになってはくれなかった。仕方がなかった。虚しかった。その次に好きになった人と、やっと付き合えて、有頂天になっていたら突き落とされて、ある夜、彼は私のことなんか少しも好きではないと言った。私が自分のことを好きだから付き合ってるんだと言った。私の気持ちありきの関係性は辛くてたまらなかった。わたしは愛されたかったから、そんなの無理だと思った。だから好きだったけれど別れた。相手の愛が育つまで待つなんてできなかった。待ったところで、母親さえ結局は私を愛してくれないんだから。

 

私は出会い系をはじめた。ほとんどやけくそだった。元彼を想って泣く夜なんて1日たりとも過ごしたくなかった。7人の男はみんな私を大切に扱ってくれた。その優しさは全部私と寝るためのものだったけれど、それでもよかった。突き放されるよりマシだった。好きでもない男と手を繋いで夜道を歩くのは楽しかった。好きでもない男とキスするのはもっと面白かった。私は私を粗末にしているつもりなんかなかった。くだらない男のくだらない口先だけの愛なんかより、ドロドロした汚い性欲をぶつけられる方が何も考えずに楽しめた。

 

「どうして出会い系なんかやってるの?」と聞かれて、「さみしいから」と答えたのは先週の火曜日だった。物心ついたときから今までずっと寂しい。寂しくないということがどういうことなのかわからない。リストカットの傷は幸いにして浅くて、でも陽にかざすと白く光る。傷が消えることは一生ない。

 

 

 

1013

俺はセフレとかそういう関係になるのは嫌なんや、話しててすごく楽しいし、笑ってくれて嬉しいし、だから付き合いたい、と泣きながら言った元彼に似た男のことを考えている。私を何分も待たせて、特に何も言わずに家に入ったあの男。私は恋人を作りたくなんてないのだ。

 

別のはるかに歳上の男の優しさや好意に安心しきりながらも、今日映画を一緒に見に行った男のスマートさや、自分の欲をぶつけてくる身勝手さに惹かれてしまうのだ。彼らは全く違う部分で私を満たす。

 

世の中に、私の母のように異性に興味が薄く、恋がなくても生きていける人がいるならば、わたしは真逆だ。わたしはどうしても異性を求めてしまうし、それがなければ生きていけない。仕方がないのだ。どちらも悪い生き方じゃない。

 

1日だけ休みたい。

1006

今日はアルバイトだった。

みんなが優しくて嬉しかった。

 

村上春樹のハナレイ・ベイが映画化されると聞いて、久しぶりに図書館で本を読んだ。村上春樹の小説に出てくる主人公は大抵、ゆったりと休んで、本を読んで、美味しい食べ物と美味しいお酒を飲んで、音楽を聴いて暮らす。たまに筋トレや水泳をして汗を描く。素敵だ。

 

そのほかにも1830年代に外国で書かれた青少年向けの(残酷な描写が省かれている)ギリシャ神話を読んだ。女好きの神ゼウスの妻ヘラは、夫がたぶらかして(ある時は騙して)誘拐した美しい娘に容赦なく呪いをかける。あるいはゼウスが他の娘に産ませた子を永遠に呪う。ギリシャ神話の神々は人間らしい。

 

それってあんまりなんじゃない、と思った。嫌なことがあった。もう友達たちには会いたくない、と言う気持ちになった。もう会わない。会わなくてもやっていける。