0305

この靴下の下には、真っ赤に塗られた爪があって、それは誰にも無理やり見られることはないという安心のもと、ほんの少し私に自信を与えている。

 

どんな人からであろうと、自分に向けられた愛は少し恐ろしい。

私の言動に一喜一憂してほしい、誰かにしつこいほど愛されたい、味方になっていてほしい、とずっと強く願ってきたのに、いざそうなるとこのザマだ。

私がなぜ人に今まで愛されなかったのか、それは私が今まで人をきちんとした形で愛してこなかったからだと分かった。私の愛はいつも他の惨めな気持ちを打ち消すためのハリボテか、空っぽな性欲だった。愛の延長線上に性欲はあるけど、性欲の延長線上に愛はない。

それにしても、他のことに関してならそれなりにちゃんとうまくなんとかやってきていたのに、こと恋愛に関しては、こうもうまくいかないんだろう。

 

自分の気持ちすらつかめない。